主に接着剤として利用されていたゼラチンは、古代エジプトのにかわ製造に起源と伝えられています。その後、1690年のオランダで工業的な規模でゼラチンが生産されはじめ後、1700年代にはイギリスでも主要な産業となりました。さらに1800年代に入ると、フランス、アメリカ、ドイツでも工業化され、現在に至っています。このように、5000年も前から利用され、今もその有用性を保っている素材は多くはありません。


ゼラチンの主原料は1800年頃までは皮が多く用いられていましたが、1814年にイギリスで脱灰牛骨(オセイン)の製造技術が確立されたことにより、19世紀初頭には工業的な骨ゼラチンの製造も開始されました。また、この当時には食用ゼラチンも生産されていたと伝えられています。そして、19世紀後半、写真乳剤にゼラチンが応用されるにいたり、ゼラチン工業はさらに発展しました。


一方、日本でのゼラチンの工業化は歴史が浅く、1900年代に入ってからであり、理由の一つとして、日本では寒天が古来、食品素材として利用されていたことがあげられます。しかし、戦後の食生活の欧米化、嗜好の多様化にともない、食用ゼラチンの国内での消費・生産量は、ともに年々増加を続けています。


ゼラチンの語源は、ラテン語の『gelatus』(堅い、凍った)に由来し、この名称は18世紀初頭から、一般的に使われるようになったといわれています。