4-4.  メカニズム

炎症期

創傷部でPO、OG濃度が高くなり、
掃除役のMMP9産生を促進させます。

増殖期

PO、OGにより皮膚の細胞が遊走し、
増殖することにより、創傷部位が閉塞。

治癒

真皮内の新生コラーゲン(トロポコラーゲン)を亢進し、元のコラーゲン量に復帰させます。POにより、ヒアルロン酸の産生も促進されます。

4-5.  動物試験

創傷を負わせたラットのMMP9量をウエスタンブロット法にて測定、免疫染色法にて、その局在を確認しました。

動物試験内容

 ● ウィスター系雄ラット
 ● コントロール群:15%カゼイン食
  コラーゲンペプチド群:10%カゼイン+5%コラーゲンペプチド
 ● 評価項目:創傷面積、新生コラーゲン合成量、MMP-9

コラーゲンペプチド群はカゼイン群に比べて創傷面積が有意に減少し、新生コラーゲン合成量は創傷形成後1日目から通常時と有意差がなくなるまで回復しました。 コラーゲンペプチド群では傷を洗浄する役割を担うMMP9が基底膜を中心に分布していたのに対し、カゼイン群ではMMP9が点在し慢性炎症を示しました。

 

引用:Horiuchi et al, 4th conference of Japanese Society for Amino Acid Sciences

MMP9とは?

MMP9とは、タンパク質分解酵素の一つです。変性したコラーゲンの分解をはじめとし、その作用は多岐にわたります。

また、MMP9は炎症性刺激により活性化されます。

 

なぜMMP9があるとよいのか?

MMP9が創傷でできたダメージを受けた組織を分解することによって、皮膚のリモデリング(代謝)のスイッチが入ります。リモデリングのスイッチが入ることでコラーゲンなどのECMの合成へつながり、創傷の治りが早くなります。ただし、MMP9が長期的に存在すると慢炎症を起こしてしまうため、一過的に増加することが非常に重要となります。

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