近年、スフェロイドや重層化細胞シートなどの3次元組織が注目を集めています。これらは次世代の細胞治療法として期待されていますが、組織を形成する際、内部にまで酸素や栄養が行き渡らず、細胞が壊死してしまうことが問題になっております。山下 潤先生(京都大学 iPS細胞研究所教授)らの研究チームは、細胞シートの間にゼラチン粒子を挟むことで、細胞の壊死を防ぎ、心筋細胞シートを15層以上重層化することに成功しました。今後、重症心疾患の新しい治療法としての応用が期待されています。
参考文献:Efficient long-term survival of cell grafts after myocardial infarction with thick viable cardiac tissue entirely from pluripotent stem cells. Sci Rep. 2015 Nov 20;5:16842.