ウイルスの温度安定性を大きく向上させる

ゼラチンの新機能を発見

ゼラチンを用いたウイルスの温度安定性向上を目指して、

酪農学園大学の萩原 克郎教授と弊社が

共同研究論文を発表しました。

弊社は、酪農学園大学(学校法人酪農学園 北海道江別市)萩原克郎教授と医療用ゼラチンを用いたウイルスの温度安定化に関する共同研究(以下、「本研究」という)を実施し、その論文が2022年5月27日付けでVirology Journal(ウイルス学ジャーナル)に掲載されたことをお知らせいたします。先端がん治療用に注目されている腫瘍溶解性ウイルス(以下、「ウイルス医薬品」という)は、超低温冷凍での保管や輸送が必要で、ウイルス医薬品による治療の普及には課題となっています。本研究成果によりゼラチンをウイルス医薬品に配合することで温度安定性を大きく改善し、冷蔵保管や輸送を実現できる可能性が示唆されました。今後、ウイルス医薬品等への効果確認を進め、同医薬品を用いたがん治療の普及に貢献したいと考えています。

(画像:左から酪農学園大学 萩原 克郎教授、弊社総合研究所バイオメディカル部長 平岡 陽介)

■共同研究論文の掲載
 本論文の掲載にあたり、酪農学園大学 萩原克郎教授より、「生体由来のゼラチン成分は、食品から医療まで広く活用されています。この分子の特性を活かして、特殊な冷蔵装置がなくてもウイルスが安定的に長期間保存可能となることは、医療目的としたウイルスやワクチンなど様々な分野でのウイルス利用に貢献できる可能性が期待されます。」とのコメントがありました。

 

Virology Journal(BioMed Central社*)

*:英国を拠点とする科学的オープンアクセス出版社で、250を超える科学雑誌

(ジャーナル)を発行し、その全てをオンラインでのみ公開している。

Stability of enveloped and nonenveloped viruses in

hydrolyzed gelatin liquid formulation

エンベロープウイルスと非エンベロープウイルスの安定性に対する

加水分解ゼラチン液の効果]

酪農学園大学 獣医学類教授:萩原 克郎

新田ゼラチン株式会社 バイオメディカル部長:平岡 陽介

新田ゼラチン株式会社 同部研究員:塚本 啓司

                 Francois Marie Ngako Kadji

                 小谷 知希

掲載URL https://virologyj.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12985-022-01819-w