8-4. メカニズム

炎症期

創傷部でPO、OG濃度が高くなり、
掃除役のMMP9産生を促進させます。

増殖期

PO、OGにより皮膚の細胞が遊走し、
増殖することにより、創傷部位が閉塞。

治癒

真皮内の新生コラーゲン(トロポコラーゲン)を亢進し、元のコラーゲン量に復帰させます。POにより、ヒアルロン酸の産生も促進されます。

8-5. MMP9の生成と場所

創傷を負わせたラットのMMP9量をウエスタンブロット法にて測定、免疫染色法にて、その局在を確認しました。

動物試験内容

  • ウィスター系雄ラット
  • コントロール群:15%カゼイン食
  • コラーゲンペプチド群:10%カゼイン+5%コラーゲンペプチド
  • 6日飼育
  • 評価項目
    新生コラーゲン合成量測定

 

コラーゲンペプチド群では、MMP9が基底膜を中心に観察されたのに対し、カゼイン群は、MMP9が真皮、表皮に散在し、慢性炎症を呈しました。

新生コラーゲン量の増加

 

コラーゲンペプチド群では、創傷成形1日後から正常な0日と同等まで回復していることが示されました。

創傷面積改善

 

コラーゲンペプチド群では、約59.5%、カゼイン群では、25.7%創傷面積が縮小しました。

MMP9とは?

MMP9とは、タンパク質分解酵素の一つです。変性したコラーゲンの分解をはじめとし、その作用は多岐にわたります。

また、MMP9は炎症性刺激により活性化されます。

 

なぜMMP9があるとよいのか?

MMP9が創傷でできたダメージを受けた組織を分解することによって、皮膚のリモデリング(代謝)のスイッチが入ります。リモデリングのスイッチが入ることでコラーゲンなどのECMの合成へつながり、創傷の治りが早くなります。ただし、MMP9が長期的に存在すると慢炎症を起こしてしまうため、一過的に増加することが非常に重要となります。

動画 : 褥瘡